繊維を知ることは、洗濯やしみぬきをする上で、とても重要です。
思わぬ失敗をしてしまわない様に、ついてしまったシミや汚れのことだけでなく、
繊維素材もしっかりチェックするようにしましょう!
綿(コットン)
綿は、日本で現在使われている衣料用繊維の40%を占め、もっともポピュラーな繊維の1つです。
原料は綿花で、植物繊維です。
綿の長所(メリット)
- 綿は、肌触りが良く、通気性が良く、水分をよく吸収し、涼しさと保温性を合わせもっています。
- 水に濡れても丈夫になる特徴がある珍しい繊維です。
- アルカリにも強いのでアルカリ性洗剤や漂白剤を使用することが出来ます。
綿の短所(デメリット)
- 着用や洗濯など摩擦によって毛羽立つため、白化しやすく、シワになりやすい。
- 綿は着用時は伸びやすく、洗濯時には縮みやすい。
- 吸収性が良いため、シミが出来やすい。
- 色の染めつきが悪く、移染、日光や汗による変退色などのトラブルが多いです。
- 染色が弱い衣類は洗濯で、色移りのトラブルが一番多い繊維です。
綿の洗濯時の留意点
- 洗剤はアルカリ性、中性のどちらでも洗えます。(生成りや淡色のものは蛍光剤無配合の洗剤で洗った方が良い)
- 毛羽立ち、シワになりやすいので、脱水は短めにして下さい。
- アイロンは高温(180~210℃)でかける。(色物はあて布をして)
麻(リネン)
麻は、紀元前5000年、古代エジプト時代に人類が初めて作った織物と言われています。
麻は、天然繊維のなかでもっとも涼しい繊維といわれ、手触りは硬く、シャリ感がある夏向きの植物繊維です。
衣料用として使われる麻の種類は、苧麻(ちょま・ラミー)と亜麻(あま・リネン) です。
麻の長所(メリット)
- 水分の吸湿性がよく、発熱性がもっとも早いので、もっとも涼しい。
- 強度が強く丈夫で、水に濡れても使用出来る。
麻の短所(デメリット)
- 麻は、染色時に繊維の芯まで染まりにくく、水濡れや摩擦により色移りがしやすい。
- 日光、汗や洗濯によって変退色がおこりやすい。
- 着用や洗濯での摩擦により毛羽立ちやすいので、取り扱いには注意が必要です。
- 麻はシワにとてもなりやすく、アイロンをしてもなかなかシワが直しにくい。
- 麻製品の特徴を考えると、ジーンズが色抜けしていくのと同じように麻衣類の色抜けはそのものの味として楽しんでいくものと捉えるべきでしょう。
- 古いシミなどを放置していると繊維が劣化し、しみぬきや洗濯時に破れやすくなる。
麻の洗濯時の留意点
- 洗剤はアルカリ性、中性のどちらでも洗えます。(生成りや淡色のものは蛍光剤無配合の洗剤で洗った方が良い)
- 非常に毛羽立ち、シワになりやすいので、脱水は20秒~30秒程度で非常に短めにして下さい。
- アイロンは高温(180~210℃)でかける。(色物はあて布をして)
毛(ウール・カシミア・アンゴラ・モヘアなど)
毛は、全世界で生産される総ての繊維の3%を占める羊毛や獣毛を原料にした動物繊維です。
また、毛は羊だけでなくカシミヤ、モヘヤ、アルパカ、アンゴラなどを高級獣毛も含みます。
羊毛や獣毛類表面は魚のウロコのような表面をしています。テレビのシャンプーのCMによく出てくるキューティクルと言うとみなさんも良くご存知じゃないでしょうか?
毛(ウール)のセーターを水で洗濯すると縮んでしまうことがありますが、
羊毛を重ね合わせて、石けん水と熱と圧力を与えて操んまれると、このウロコが絡み合って縮んでしまいます。これが、硬い塊となったのをフェルトといいます。
毛(ウール)の中にも水洗いができるウオッシュブル加工された衣類もあります。
この加工をされた毛(ウール)は縮みを防ぐためにウロコを除去したり、樹脂でウロコが開かないように加工したモノで、水で洗ってもウロコが絡まず、縮みなどは発生しないようになっています。
毛(ウール・獣毛)の長所(メリット)
- 繊維自体に空気をたくさん含んでいるので、熱伝導率が低くとても保温性がよい。
- 構造上、水をはじくので汚れ・シミになりにくい。
- 水分を多く含み、弾性が高いのでシワになりにくい。
毛(ウール・獣毛)の短所(デメリット)
- ぬれた状態で摩擦が加わると、縮みやすい。(フェルト化)
- アルカリ洗剤でフェルト化しやすい。
- 日光で黄ばみやすい。
- カビや虫に食われやすい。
- 毛玉ができやすい。
毛の洗濯時の留意点
- 中性のおしゃれ着用洗剤で洗う。(アクロン・エマールなど)
- アタック・トップなどのアルカリ洗剤は使えない。
- 塩素系漂白剤、粉末酸素系漂白剤は使えない。
- 黄変の恐れがあるため必ず陰干しする。
- アイロンは中温(140~160℃)であて布をしてかけるか又は、スチームアイロンをする。
絹(シルク)
絹は、、蚕(かいこ)の幼虫が作る繭(まゆ)からとった独特の光沢を持つ動物繊維です。
蚕(かいこ)が体内で作り出すたんぱく質・フィブロインを主成分としていて、1個の繭(まゆ)から約800~1,200mとることができる、天然繊維で唯一の長繊維(フィラメント糸)です。
絹(シルク)の美しさは古くから人々を魅了し、まさに繊維の王様と言われています。レーヨン、アセテート、キュプラ、ポリエステルなどは絹(シルク)を目標に作られています。
絹(シルク)の長所(メリット)
- 繊維が長く細いのでしなやかでドレープ性が高く、美しい光沢があります。
- 人の皮膚の成分に似た18種類のアミノ酸タンパク質で出来ているので素肌にとてもやさしく馴染みます。
- 繊維の間に空気を多く蓄えているので、夏は涼しく、冬は暖かくと温度調整機能があります。
- 水分の保湿性が高いので静電気が起こりにくい。
絹(シルク)の短所(デメリット)
- タンパク質で出来ているので紫外線に弱く、黄ばみやすい。
- 水や汗などの水分に弱く、シミが出来やすい
- 染色が弱い物が多く水に濡れたり日光などで脱色、変色が起こりやすい。
- 繊維が細いため、摩擦に弱い。
- タンパク質で出来ているため、カビや虫食いの害を受けやすい。
絹の洗濯上の留意点(水洗いできる品物)
- 中性のおしゃれ着用洗剤で洗う。(アクロン・エマールなど)
- アタック・トップなどのアルカリ洗剤は使えない。
- 塩素系漂白剤、粉末酸素系漂白剤は使えない
- 摩擦に弱いので脱水は出来るだけ弱くする。
- 黄変の恐れがあるため必ず陰干しする。
- アイロンは中温(140~160℃)あて布でかける
レーヨン・キュプラ
レーヨンは、木材パルプを原料に、薬品で溶かして繊維を作るので再生繊維と呼ばれています。
再生繊維は、主成分は天然繊維と同じなので、土に埋めると分解されます。
レーヨンの語源は「光る糸」という意味で、ベンベルグ、キュプラ、ポリノジックもまたレーヨンの仲間です。
特徴として、吸湿性があり、耐摩耗性も優れているため、高級な裏地として利用されています。
レーヨンの長所(メリット)
- 繊維のなかでもっとも吸湿性が高い。
- 独特の光沢感があり、ドレープ性にもすぐれている
- 熱に強い
レーヨンの短所(デメリット)
- 摩擦に弱い
- 弾性に乏しいためシワになりやすい
- 水にぬれると縮みやすく、弱くなる。
- 吸水性が良いため、水滴や雨によって、水ジミになることがある。
- 着用やクリーニングの繰り返しによって、コシがなくなったり、光沢が減少する場合がある。
- 擦れやすいため毛羽立ちやすく白っぽく見える。
レーヨンの洗濯上の留意点(水洗いできる品物)
- どの洗剤でも洗えるが色柄物は中性洗剤を使用した方が良い。
- 染色の弱い物もあるので、色落ちチェックを必ずして下さい。
- シワになりやすいので、脱水は短めにする。
- アイロンは中温(140~160℃)でかける
テンセル・リヨセル
テンセルは木材パルプを溶剤に溶かしてフィルターでろ過し、不純物を取り除いてから細かい孔から押し出して作られる繊維でヨーロッパで開発された新素材です。
テンセルは、天然繊椎、再生繊維、半合成繊維のどれにも属さない新しい 「精製セルロース繊維」のため「繊維素系繊維 (指定外)」と表示されています。
テンセルの長所(メリット)
- ソフトな風合い、サラッとした肌ざわりで上品な光沢が魅力の繊維です。
- 綿やレーヨンよりも縮みにくく、寸法安定性が高い
- 水を吸収しやすく、吸収した水がすばやく乾くので洗濯性が良い。
テンセルの短所(デメリット)
- 水洗い(手洗い)によって若干縮むことがある。
- 濡れると少し硬くなる場合がある。
- 着用時や洗濯時に摩擦によって白化(フィブリル化)しやすい。
テンセルの洗濯上の留意点(水洗いできる品物)
- どの洗剤でも洗えるが色柄物は中性洗剤を使用した方が良い。
- 摩擦による白化(フィブリル化)はある程度起こることはやも得ない。
- シワになりやすいので、脱水は短めにする。
- アイロンは中温(140~160℃)あて布でかける。
アセテート
木材を原料にして酢酸と化合させて作る半合成繊維です。
アセテートは人絹と呼ばれ絹のような光沢やしなやかさを持ち、天然繊維の質感と、合成繊維の機能性をもつ優れた繊維です。
その一方で、有機溶剤などへの耐薬品性は低くく注意が必要です。
アセテートの長所(メリット)
- 絹に似た光沢やしなやかさがあります。
- 弾力性がよく、比重も軽く、ハリ感やドレープ性にもすぐれています。
アセテートの短所(デメリット)
- アルカリに弱い
- 摩擦に弱い
- 耐薬品性が低いので、マニキュアの除光液やシンナーに溶ける
- ガス退色を起こしやすい。(車の排気ガス、ストーブなど)
アセテートの洗濯上の留意点(水洗いできる品物)
- 中性のおしゃれ着用洗剤で洗う(アクロン・エマールなど)
- アタック・トップなどのアルカリ洗剤は使えない。
- 塩素系漂白剤、粉末酸素系漂白剤は使えない。
- 摩擦に弱いので脱水は出来るだけ弱くする。
- アイロンは低温(80~120℃)あて布でかける
ナイロン
ナイロンは、原料が石油でつくられている合成繊維です。
1935年アメリカのデュポン社により開発され、1938年デュポン社で商品化されました。
当時、ナイロンは「くもの糸より細く、絹よりも美しく、鋼鉄より強い」といわれていました。
用途として、ストッキングや下着、スポーツ衣料、レインコートなど幅広く使われています。
ナイロンの長所(メリット)
- とても強くて、水に濡れても強度が低下しない。
- 軽くて弾力性があるので、シワになりにくい。
- カビや虫害を受けにくく、保管しやすい。
- 吸湿・吸水性が低いので、汚れも落ちやすく速乾性が高い。
ナイロンの短所(デメリット)
- 静電気が起きやすい
- 日光などの紫外線により、白いものは黄色く変色することがあります。
- アルカリには強い反面、酸に弱く、黄色く変色することがあります。
- 熱に弱く、摩擦による熱で擦り切れたり、穴が開いたりすることがあります。
- 石油から作られるので、有機溶剤で溶ける場合があります。
ナイロンの洗濯上の留意点
- 洗剤はアルカリ性、中性のどちらでも洗えます。
- 過酸化水素で溶ける場合があるので、漂白には注意が必要です。
- 紫外線をさけ、陰干しする
- アイロンは低温(80~120℃)あて布でかける
ポリエステル
日本では現在、1958年に登場したポリエステルは、国内の合成繊維生産量の約50%を占めています。
ポリエステルは、石油からつくられる合成繊維で、ナイロンに次ぐ強度を持っており、磨耗に強く、耐久性があります。しかしながら最近では、ハイテク技術で作られたマイクロファイバー(超極細繊維)が主流で、大変にデリケートなものとなっています。
ポリエステルの長所(メリット)
- 吸湿性が低く、すぐ乾き、水による収縮がほとんどない。
- 弾力回復率が高く、シワになりにくくや型くずれしにくい。
- 合成繊維の中でも有機溶剤などの薬品に強い。
- カビや虫害を受けにくいため、保管がしやすい。
- 軽くて丈夫で、日光に強い。
- ナイロンやアクリルなどの合成繊維の中では、熱に強い
ポリエステルの短所(デメリット)
- 摩擦などで静電気が起きやすい。
- 油性の汚れが吸着しやすく、落ちにくい。
- 洗濯においても逆汚染しやすく、黒ずむ。
- 繊維の強度が高く長いため、毛玉になりやすく取れにくい。
ポリエステルの洗濯上の留意点
- 洗剤はアルカリ性、中性のどちらでも洗えます。
- 繊維の細いものは、手洗いでやさしく押し洗いしてください。
- 脱水は、短めで。
- アイロンは中温(140~160℃)でかける。(色物はあて布で)
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